22 Dec 2017
お腹の調子が悪い(便秘気味、下痢気味)、ガスが溜まってお腹が張る・・・そんな症状が長く続く人は過敏性腸症候群かもしれません。
過敏性腸症候群は血液検査や内視鏡では異常は見つからず、原因は特定できないそうです。
そのため、過敏性腸症候群の原因は複数あると考えられています。ストレスなども原因とされていますが、最近の研究では腸内細菌がその原因の一つであることが判ってきました。
また、過敏性腸症候群の改善に「低FODMAP食」が有効であるという研究結果も発表されました。
そこで、今回は過敏性腸症候群のつらい症状改善に試していただきたい「低FODMAP食」の実践方法とレシピをご紹介します。
FODMAPとは?
FODMAPとは「Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides and Polyols」の略で、発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールを意味しています。
FODMAPを多く含む食材は、小腸で吸収されにくいのでそのまま大腸に進みます。
大腸で発酵するため、ガスの発生や腹痛などの症状をもたらすのです。これにより過敏性腸症候群の症状が悪化すると考えられています。
FODMAPの少ない食事を続け、これらの過敏性腸症候群の症状改善を目指すのが、低FODMAP食です。
低FODMAP食を実践する前にFODMAPを多く含む食材と少ない食材を知っておきましょう。
FODMAPを多く含む食材
FODMAP食をカテゴリーに分けると以下のように分類されます。
Fermentable(発酵性)
納豆、粕漬、キムチ、麹、味噌、チーズ、ヨーグルト
Oligosaccharides(オリゴ糖)
玉ねぎ、ごぼう、にんにく、アスパラガス、ブロッコリー、マッシュルーム、小麦、大豆など豆類
Disaccharides(二糖類)、Monosaccharides(単糖類)
リンゴ、なし、もも、スイカ、ドライフルーツ、アイスクリーム、牛乳など乳糖を多く含む食材、はちみつ、ジュース
Polyols(ポリノール)
ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの甘味料が含まれる食品(ガムや飴、お菓子などにも含まれています)
FODMAPが少ない食材
バナナ、メロン、ブルーベリー、みかん、レモン、グレープフルーツ、ニンジン、ココナッツ、もやし、大根、ホウレンソウ、キュウリ、レタス、キャベツ、トマト、ジャガイモ、さつまいも、かぼちゃ、ズッキーニ、いんげん豆、お米、キヌア、豆腐、オリーブなど。
肉や魚、魚介類も低FODMAP食に取り入れる食材です。
低FODMAP食実践方法
低FODMAP食の実践は以下のように進めてください。
①FODMAPを多く含む食材を2週間避けます。
この段階で体調がよくなれば、低FODMAP食が有効な食事法だと考えられます。
症状が改善されなければ低FODMAP食は中止してください。
②3週目からFODMAPを多く含む食材をカテゴリー毎に取り入れていき、お腹の調子を見ていきます。調味料や加工品でも小麦を使った食品が多いため、はじめに小麦を使った食材を取り入れてみましょう。
小麦追加で体調が悪化した場合は、小麦アレルギーやセリアック病、グルテン不耐症の疑いもありますので、医師の診察を受けることをお勧めします。
不耐症については下記記事を参照ください
③小麦を取り入れても体調に変化がない場合は、4週目から乳製品を取り入れます。
(乳製品アレルギーやラクトース不耐症のある方は取り入れません。)
④乳製品を取り入れても体調に変化のない場合は、カテゴリー毎に食材を追加して原因を探してください。カテゴリーは、ご自身の食事で省いたままだと不便なものから優先順位を付けて取り入れるようにしてください。
⑤原因を探し、体調悪化につながる食材が見つかった場合は、今後の食事でなるべく摂取しないよう心掛けましょう。過敏性腸症候群の症状緩和が期待できます。
低FODMAP食メニュー
低FODMAP食のメニューを検討する場合、低FODMAPの食材をシンプルな味付けで調理することを意識しましょう。市販の調味料には高FODMAP食材が含まれていることが多いため、使用する際は注意が必要です。
市販の調味料が使えないと、せっかくの食事が物足りない味に感じる方も多いと思います。そんな方におすすめしたいのが、ハーブの活用です。
バジルやローズマリー、煮込み料理に使えるローリエは使いやすいハーブです。シンプルな味付けの食事に飽きてきたら、ハーブを使ったお料理もぜひ試してくださいね。
低FODMAPのトマトスープレシピ
市販のコンソメを使わず、ハーブで味に深みをプラスするトマトスープレシピをご紹介します。
<二人分の材料>
カットトマト缶 1/2
水 100cc
ニンジン 1/4本
ジャガイモ 1個
ズッキーニ 1/2本
キャベツ 40g
鶏肉 100g
乾燥キヌア 10g
乾燥ローリエ 1枚
乾燥バジル 小さじ1
オリーブオイル 小さじ1
塩コショウ少々
塩 小さじ1/2
<作り方>
①ニンジン、ジャガイモ、ズッキーニは1cm角くらいの食べやすい大きさにカットします。
キャベツは食べやすい大きさにザク切りしてください。
乾燥キヌアはお湯で10分ほど茹で、ザルに上げ、水気を切っておきましょう。
お湯で10分ほど茹でたキヌア
②鍋を火にかけてオリーブオイル小さじ1を加え、中火で温めます。
③オリーブオイルが温まったら、ニンジンとジャガイモを加えて炒めましょう。
④ニンジンとジャガイモにオリーブオイルが絡んだら、鶏肉を鍋に入れます。
塩コショウを少々加え、鶏肉の赤みが少し残る程度に軽く炒めてくださいね。
⑤鶏肉に火が通ったら、ズッキーニとキャベツ、料理酒大さじ1を加えます。
蓋をして3分ほど蒸し焼きにしましょう。蒸し焼きにすることで、鶏肉がやわらかく仕上がりますよ。
⑥ズッキーニとキャベツが写真のようにしんなりしたら、次の工程です。
⑦水100ccとカットトマト缶1/2、ローリエを鍋に入れます。ふたをして中火で温めてください。
沸騰し始めたら、弱火で10分ほど煮込みます。
⑧そこに事前に茹でておいたキヌアと乾燥バジルを加え、さらに5分ほど煮込みましょう。
塩小さじ1/2で味を整え、完成です。
乾燥バジル(S&B株式会社)
鶏肉のうまみと野菜の甘みたっぷりにキヌアのプチプチした食感が楽しめる優しい味のトマトスープです。我が家の7歳と5歳の娘も大好きですよ。
また、鶏肉を魚介に変えると、魚介のダシが味わえるおいしいスープに仕上がります。
低FODMAP食の実践中にストレスを溜めないよう、食事も楽しんでくださいね。
まとめ
過敏性腸症候群のつらい症状改善に試していただきたい「低FODMAP食」についてお伝えしましたが、いかがでしたか?
実践には3週間から6週間程度の食事制限が必要となります。
食事制限と考えると辛くなりますが、自分の体に合う食材と合わない食材を改めて見つける良い機会になります。
私の場合は、好んで食べていたリンゴや納豆、キムチを1日の食事に全て取り入れると、その日の夜は腹痛で寝込んでしまうこともありました。これらは全てFODMAPの多く含まれる食材でした。今までは疲れやストレスのせいにしていましたが、やはり食事が関係していたのですね。
好きな食材と体に合う食材は違う・・・ということもあるかもしれません。でも、体調がよくなると、毎日いきいき過ごせます。前向きに楽しく取り組んで、症状改善にお役立ていただければと思います。
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