10 Oct 2017
慢性疲労がある、その疲労の原因ははっきりわからないけど、小麦グルテンが原因かも?原因不明の疲労が続いているのに何をしても治らないと感じている方やスポーツで持久力を上げたいと考えている方に有効な食事法として「グルテンフリー」があります。
グルテンフリーの食事法は、もともとセリアック病・グルテン不耐症・小麦アレルギーなどグルテン摂取で発症する疾患を持つ患者さん向けの食事法でした。この食事法を実践して、世界的テニスプレーヤーのジョコビッチ選手が好成績を収めたことも話題となりました。
今回はグルテンフリーについて解説し、これからグルテンフリー食を実践される方が始めやすいように要点をまとめましたので参考にしていただければと思います。
グルテンとは?
「グルテン」は小麦を水で練ったときに形成されるたんぱく質です。
小麦粉には2種類のたんぱく質「グルテニン」と「グリアジン」があります。小麦粉を水で練ると、この2種類のたんぱく質が混ぜ合わさり粘弾性たんぱく質「グルテン」が形成されます。
「グルテン」が形成されるおかげで、中華麺やパンなど弾力感のある食感が生まれ、ケーキや天ぷらの衣のようなふんわり感が実現します。小麦は現代の食事では欠かせない食材となっています。このグルテンというたんぱく質は難消化性であり、肉、大豆などのたんぱく質の中で一番消化しにくいたんぱく質です。
小麦グルテン由来の「グリアジン」に近いアミノ酸は大麦(押し麦、もち麦)、ライ麦、オーツ麦にも含まれます。そのため、グルテンフリーの食事では、これらの穀物も控えるようにします。
体の不調はグルテンが原因!?
体が常にだるいなどの慢性疲労、頭痛や関節痛の痛みがある、集中できない、湿疹などの肌トラブル、下痢・便秘や胃腸の不快感・・・それらの不調はグルテンが引き起こしているかもしれません。グルテンの摂取で発症する疾患には以下のようなものがあります。
①セリアック病
小腸の炎症により栄養吸収ができなくなる重度の栄養障害です。セリアック病は生まれつきとは限らず、グルテンの摂取がきっかけで発症することもあります。
セリアック病は、頭痛・下痢・湿疹などの体調不良を引き起こします。
②グルテン不耐症
グルテン不耐症は、グルテンの消化不良により頭痛・下痢・疲労感などの症状がでる体質のことです。通常は小麦を摂取しても不調にならないという人でも体調不良や胃腸の調子が悪い場合、これらの症状が出る可能性もあります。
※不耐症とは?下記リンクを参照してください。
③小麦アレルギー
グルテンはアレルギー反応を起こしやすく、小麦グルテンの摂取によりアナフィラキシー症状が出る即時型アレルギー(IgEアレルギー)と日々の体調不良として症状が出る遅延型アレルギー(IgGアレルギー)あります。
遅延型アレルギーの場合、小麦アレルギーと判断し難いため自覚がない人も多いようです。
④リーキーガット症候群(腸もれ症候群)
健康な人もグルテンを摂取し続けることで、グルテンが未消化のまま腸の粘膜を傷つけ、炎症を引き起こすことがあります。傷ついた腸がさらに悪化し、穴が開いてしまうとアレルギーの原因となる物質や有害物質などを体内に侵入させ、体調不良を引き起こしてしまいます。
セリアック病やグルテン不耐症の人がグルテンの摂取により直接引き起こされる症状の一つに「ブレインフォグ」があります。
「ブレインフォグ」の症状には、集中力の欠如や注意散漫、健忘症や方向感覚の欠如があります。会話などにも影響が出ることがあり、日常生活に支障をきたしてしまいます。
グルテン摂取で引き起こされる疾患を抱える方、または疑いのある方には、グルテンフリーの食事法はその症状を発症させないため、体調改善に有効な食事法と言えます。ちなみに私は小麦を食べると必ず便秘になります。嫁は小麦を食べるとブレインフォグを起こし頭がモヤモヤするといつも言っています。パン(強力粉)がグルテンを多く含むのでパンはほとんど食べません。薄力粉で作られたクッキーやスポンジケーキなどではこのような症状は出にくいようです。あくまで私と嫁の場合はですが。
ジョコビッチ選手の経験から学ぶグルテンフリーの効果
グルテンフリーの食事法を実践して好成績を収めた世界的テニスプレーヤーのジョコビッチ選手ですが、実際にどのような体調の変化があったのでしょうか?
彼の著書によると、ジョコビッチ選手は10代のころから試合中に喘息のような呼吸困難が起き、試合を途中棄権するなどつらい状況が続いていました。試行錯誤しながらトレーニングの変更やメンタルの向上などに取り組んでも、やはり体調は改善されず、「もっと呼吸ができるように」と鼻の手術を受けても、体調不良は続いたそうです。
ジョコビッチ選手の祖国であるセルビア出身の栄養学者、セトジェヴィッチ博士の勧めでグルテンフリーの食事法を2週間続けたところ、体が軽くなり、思考が明瞭になっただけでなく、長年悩んでいた鼻詰まりが消えました。2週間のグルテンフリーを終え、最終テストとして博士の指示でベーグルを食べると、翌日二日酔いのような状態に襲われ、鼻詰まりも再発したそうです。
ある食べ物を2週間避けてみて、そこでもう一度食べて反応をみることで、自分が避けるべき食べ物がはっきりするのです。
ジョコビッチ選手は、グルテンフリーの食事法を継続し体調が改善されたことでテニスプレーヤーとして優秀な成績を収めることができました。彼がグルテンフリーの食事法を3か月継続したころには、「体重が4kgも減少し、体のキレがよくなり、神経はさらに研ぎ澄まされ、かつてないほど活力がみなぎるようになった」とその効果をさらに実感したそうです。
グルテンは水に溶けにくく消化されにくいため、摂取すると血糖値が上昇します。血糖値の上昇でインスリンが分泌し、脂肪が蓄積されますので、グルテンフリーの食事は減量にもつながるのです。
スポーツで持久力を上げたいと考えている方にもグルテンフリーの食事法は効果的です。
グルテンフリー食を実践するには
グルテンフリーの食事法を実践する際に避ける食材・食品と食べてもいい食材・食品を事前に知り、まずは2週間から始めてみましょう。
<避ける食材>
小麦粉(特に強力粉)、大麦(押し麦、もち麦)、ライ麦、オーツ麦
<避ける食品>
・小麦製品:パン・パスタやうどんなどの麺類、クスクス、ケーキなどの洋菓子、スナック類、餃子・シュウマイ・春巻きの皮、お好み焼き・たこ焼きなどの粉もの
・麦飯や雑穀米(押し麦が入っていることがあります。)
・十割そば以外のお蕎麦(つなぎに小麦を使用しています)
・シリアル製品
・衣に小麦粉を使用した揚げ物
・麦茶
・ビールやウィスキーなど麦芽が原料のアルコール飲料
・醤油、麦味噌、ドレッシング(小麦成分が入っているもの)
・市販のカレールウ、シチュールウ、コンソメ
<グルテンが含まれている可能性のある食品>
・加工食品のハンバーグや魚肉ソーセージ、練り物
・加工チーズ、カッテージチーズ、加工でんぷん
・市販のふりかけ
・米粉パン、玄米パンなどの表示でも、小麦が入っているものもあります。
小麦を使用している加工食品は多いため、原材料表示を見て確認してください。また、外食する際にも注意が必要です。
その他、食品以外にも一部の薬やコスメ製品にグルテンが入っている場合がありますので、確認してみてください。
<食べてもいい食材>
米、きび(ソルガム)、あわ、キヌア、肉、魚、野菜、果物、豆類、乳製品、卵
<食べてもいい食品>
上記の食べてもいい食材を使用した食品や調理した食品は食べてもいい食品になります。
食べてもいい麺類は、十割そば、ビーフンやフォー、春雨などがあります。
アルコール類ですが、日本酒、焼酎、ワイン、シャンパンなど原料に麦を使用していないものは飲んでも構いません。
醤油は日本人に欠かせない調味料です。市販の醤油は小麦使用のもが多いため、使えないと味付けや食事の際に困りますよね。代替品として小麦不使用の醤油(そらまめ醤油など)がありますので、ぜひ試してみてください。
(※醤油の小麦はアレルゲンとしての影響は小麦そのままよりかなり小さいとされています)
また、グルテンフリーのパンや洋菓子、パスタやホワイトソルガム(きび)のミックス粉など小麦の代替となる食材も多数あります。これらグルテンフリーの食品は一般のスーパーではあまり見かけませんが、アレルギー対応食品コーナーや自然食品のお店、ネット通販で購入できます。
まとめ
グルテンフリー食の実践は、2週間継続することから始めましょう。普段から小麦でできた食品をよく食べている方はストレスを感じてしまうかもしれませんが、1週間ほどで小麦への依存は少なくなり、体調の変化も感じられるはずです。
グルテンフリー食品を取り入れて、楽しみながら実践し、体調改善や持久力の向上に役立ててください。
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